おっきりこみ:群馬県

おっきりこみ

おっきりこみ(おっ切り込み)は、煮込み麺料理の一種で、群馬県や埼玉県北部・秩父地方の郷土料理。
お切り込み、煮ぼうとうとも表記される。農山漁村の郷土料理百選に選出されている。
 

 
地域によって多少の差はあるが、麺は小麦粉で作った幅広のものを用い、生麺のまま野菜を中心とした具とともに煮込んだものである。
つゆは味噌ベースのものと醤油ベースのものがあり、具には根菜類がよく使われる。
 
二毛作での小麦生産が盛んな地域では、うどんなどの粉食料理を常食する文化が根付いており、おっきりこみもそのひとつである。
類似するものとしては、山梨県のほうとうなどが挙げられる。山梨のほうとうとの違いは以下の3点が挙げられる。
・生地に加える水が少ない
・山梨のほうとうや普通のうどんに比べると、おっきりこみを打つときに加える水の量は2/3以下である。
 少ない水で練ることが良い味を生むコツとされるが、生地が堅くなるので強い力でゆっくりとこねる必要がある。
・醤油味が普及している
 
味と材料の節を参照。醤油が発達する以前は味付けに醤(ひしお)の上澄みを用いていた。麺の下ゆではしない。
おっきりこみは粉の旨味を際立たせるため、ゆでずに直接煮込む。麺の形状が薄いのは火が通りやすくするため、
幅が広いのはだしの旨味を吸いやすくするためである。
 

おっきりこみの起源

おっきりこみ(上州ほうとう)の原型は、中国から伝来し京都の宮中で食べられていた料理である。
12世紀に上野国新田荘を開発した新田義重が、宮中の食材を管理する大炊助として務めていた際に習い覚えて、
本拠地の上州に戻ってからも好んで食べ、一族に伝えたとされる。
 

地域による違い

味と材料
北毛や西毛では味噌を使ったつゆが多いが、東毛では醤油が多く、中毛ではどちらも用いられる。
東毛は醤油生産が盛んで、おっきりこみを食べる機会が少なかったため、醤油が高価だった時代にも用いることができたという背景がある。
古くは味噌が主流だったが、醤油が一般家庭に普及すると、次第に東毛から醤油ベースのものが伝播していった。
具に芋類を加えることがあるが、赤城山や榛名山の山麓部ではサトイモが使われ、吾妻郡や多野郡の山間部ではジャガイモがよく用いられる。
しかし、サツマイモやカボチャといった甘いものは一般的ではない。
旧中里村や嬬恋村では、蕎麦粉で作った麺を使うこともあった。しかし、それ以外の点は小麦粉を用いたものと変わりはない。
 

おっきりこみの呼び方

「おっきりこみ」、「おきりこみ」という呼び方は群馬県内で広く見られる。
この名前は、こねた生地をへらの上から直接鍋の中へと「切り込む」調理法に由来する。
北毛では「ほうとう」、東毛では「にぼうと」とも呼ばれる。
また、夕食用に作ったものの残りを翌朝に食べる場合、「おっきりこみの立てっ返し」という。
立てっ返しとは風呂を沸かしなおすことを指し、再び温めることから付いた呼び名である。
 

「おっきりこみ」と、「うどん」の違い

うどんとの違いは、麺に塩を加えないこと、麺をつゆに入れる前にゆでないことが挙げられる。
また、生麺のままゆでるため、打ち粉が溶け出してつゆにとろみが出る。
かつては小麦粉の質にも差があり、おっきりこみにはふすまが含まれるものも使われていた。
おっきりこみは日常的に食べられる家庭料理であり、一方のうどんは「ハレ」の食事だという区別があったためである。
おっきりこみwikiより
 

 

群馬の「おっきりこみ」と、山梨の「ほうとう」との違い

幅広の「ひもかわうどん」と野菜を煮込むという点でほぼ同じですが、山梨の「ほうとう」は味噌仕立てでカボチャが入っているのが特徴的。
「おっきりこみ」は地域それぞれの味ですが、群馬・埼玉だと醤油味が多いです。
ちなみに埼玉では「おっきりこみ」の事を「煮ぼうとう(にぼと)」と呼ばれてます。
2007年12月18日に農林水産省が発表した「郷土料理百選」で、群馬県の料理として「おっきりこみ」が選ばれた。
 

おっきりこみと普通のうどんはどこが違う?

塩-ちょっとの違いが大きな違い-
おっきりこみが普通のうどんと違うところは何だかご存じでしょうか。
おっきりこみには、うどんと比べたときに、作り方の上で大きな違いが二つあります。その一つは、麺を打つときに塩を加えないことです。
小麦粉に水を加えてこね鉢でこねるところは、うどんもおっきりこみも同じですが、うどんの場合はこの時にコシを強くするために塩を加えます。
ですから、うどんをゆでた後のお湯はしょっぱいので、蕎麦湯のように飲んだりしません。
一方、おっきりこみの場合は塩を加えずにこねます。
こねた後は、うどんと同じように麺棒とメンバ板を用いて伸ばし、折りたたんで麺切り包丁でうどんよりも幅広く切ります。
 

おっきりこみのもう一つ違うところは、ゆでないことです。

うどんの場合は、切った麺を鍋や釜でゆでて、すいのうで上げて、丸めて、いったんざるなどに並べます。
その後でつけ汁で食べたり、汁をかけて食べたり、煮込んで食べたりします。
一方、おっきりこみの場合は、野菜などの具をたっぷり入れて味噌や醤油で味付けした汁の中に、
切った麺をそのまま入れて一緒に煮込んでしまいます。うどんのように、いったんゆで上げることをしません。
だから、おっきりこみの汁の中には、麺を伸ばしたり切ったりするときに打ち粉として使った小麦粉がかなり入るので、
汁が濁ってとろみがつきます。これを食べると体が温まるので、おっきりこみは主に寒い季節の食事として作られるわけです。
 
このようにして作られるおっきりこみは、群馬県では夕食として食べられることが多いです。
夕食のおっきりこみが残った場合、翌朝に温め直して食べることがよくあります。これを「おっきりこみの立てっ返し」などと呼びます。
「立てっ返し」という言葉は、本来風呂の沸し直しに使うのですが、それをおっきりこみにも当てはめて呼ぶのです。
それから、一晩たったおっきりこみは、汁を吸い尽くして鍋の中で固まっていたりするのですが、
それをご飯にかけて食べるという食べ方もあります。
 
 最近、スーパーマーケットなどで、袋入りにされたおっきりこみが売られているのをよく見かけます。
しかし、その原材料名を見ますと、多くの場合、塩が使われています。おそらくコシを出すためだろうと思います。
また、そういうおっきりこみは、生麺のものもありますが、中にはゆで麺になっているものもあります。
おっきりこみには、こねるときに塩を使わないという特徴と、ゆでないという特徴がありますので、
その点から見ますと、塩入り・ゆで麺タイプのものは、昔ながらのおっきりこみとは違うわけです。
言ってみれば「おっきりこみ風のうどん」ということになります。
 

おっきりこみの材料-小麦粉だけとは限らない-

 おっきりこみの材料ですが、おっきりこみとうどんとでは、材料の小麦粉の質が違います。
もともとおっきりこみは普段の食事、うどんは行事などの特別な日の食事です。
民俗学では、普通の日すなわち日常のことを「ケ」、特別な日すなわち非日常のとこを「ハレ」といいます。
おっきりこみはケの食事、うどんはハレの食事だったわけです。
おっきりこみにはふすまが多少含まれているような普段用の小麦粉を使い、
うどんにはふすまなどは入らないきれいな白い小麦粉を使うのが普通でした。
 
 また、おっきりこみは小麦粉だけで作られるとは限りませんでした。
藤岡市の高山などでは、小麦粉に大麦の粉やトウモロコシの粉を混ぜておっきりこみを作ることがありました。
ソバ粉で作るおっきりこみというのもあって、これは多野郡神流町の旧中里村地域や吾妻郡嬬恋村などに見られました。
ソバ粉で作るのでは、おっきりこみではなくて幅の広いそばではないかとも思えますが、
材料がソバ粉だというだけで、作り方は小麦粉のおっきりこみと同じです。
要するに、おっきりこみというのは穀物の粉の調理方法の一つであって、材料は必ずしも小麦粉だけと限ったわけではなかったようです。
群馬県立歴史博物館 指導主事  横田 雅博より
 

 

おっきりこみが食べられるお店

  
 江戸正  群馬県伊勢崎市連取町3036-13  TEL 23-6126
 そばせい  群馬県伊勢崎市山王町157-5  TEL 23-4189
 千曲庵  群馬県伊勢崎市中央町13-5  TEL 24-5690
 あさみうどん  群馬県伊勢崎市境栄780  TEL 74-2445
 そば志ん  群馬県伊勢崎市境栄699  TEL 74-7467
 元屋敷  田部井町二丁目457  TEL 62-0155
 伊勢とよ  群馬県伊勢崎市堀口町622-1   TEL 32-0243
 やわらぎ  群馬県伊勢崎市連取本町1253-6   TEL 24-0578
 かめや伊勢崎店  群馬県伊勢崎市ひろせ町4091  TEL 25-6000
 上州田舎屋  群馬県伊勢崎市曲沢町171-8  TEL 62-0233

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